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2025/11/02
キーワード:ストレートライニング

ストレートライニングとは?調査データの品質を保つための検出法

ストレートライニングとは?調査データの品質を保つための検出法

ストレートライニングって何?

アンケートで、同じ形式の質問がずらっと並んでいる表(マトリクス形式)に出会ったことはありませんか?たとえば「この会社は親しみやすい/信頼できる/活気がある…」といった15個の項目について、それぞれ5段階で選ぶような設問です。

このとき、全項目にまったく同じ選択肢だけを機械的に並べて回答してしまうパターンがあります。これをストレートライニングと言います。ほぼ同じだけれど、1つだけ違う選択肢を混ぜて“注意して答えてますよ”と見せる回答はニア・ストレートライニングと呼ばれます。

ストレートライニングが起きると何が困るのか。ざっくり言うと「データが本音を反映していない可能性が高い」からです。

特にWeb調査では、スマホやPCで一気に回答を終わらせたい人が、深く考えずに同じ列を“一直線に”クリックし続けることがあります。これは調査業界では努力の「最小限化」=とりあえず最低限だけ答える行動として知られています。これは、決して珍しい現象ではありません。実際、ある企業イメージ調査では、15項目からなる印象評価の質問に対して、1割〜2割近い人がストレートライニング/ニア・ストレートライニングで回答していたという報告もあります。

つまり「サンプルサイズ1,000人の調査をやりました」と言っても、そのうち100〜200人分は、本気で考えていない“雑な回答”の可能性があるということです。この差を放置したまま平均値や相関を分析してしまうと、見えるはずの差がつぶれてしまい、意思決定を誤らせます。

MyStoryの『リサーチアドバイザー』サービスでは、このストレートライニングを必ず検出・評価します。なぜなら、ここを見ないまま「社員サーベイを分析しました」「エンゲージメントが●●点です」と言ってしまうのは、経営意思決定レベルでは危険だからです。

「真面目に ‘全部同じ’ を選んだだけでは?」というよくある誤解

よくある反論として「だって本当に全部“どちらともいえない”と思っただけかもしれないでしょ?」という意見があります。これは重要な視点です。MyStoryも“すべてのストレートライニングは不正回答だ”とは扱いません。実際、「どちらともいえない」「まあ普通」という評価が本音の場合もあります。特に、まだ接点の薄いブランドや、よく知らない部署/制度に対しては、明確な好き嫌いがそもそもない、ということは普通にあります。

ただし、いくつかの兆候が重なると、統計的に「これは手抜き回答の疑いが濃い」と判断できます。代表的な兆候は次のとおりです。

これらの兆候がそろう場合、回答の質そのものに懸念がある、と判断できます。MyStoryでは「単に全部同じを選んだ=即削除」とはしていませんが、「回答が信頼できるかどうか」を定量的にスコア化し、後続の分析で扱い方を変えます。

ストレートライニングが放置されると何が起こるか

ストレートライニングを放置すると、次のようなバイアスが生まれます。

経営会議や労使協議の場にレポートを出すとき、この歪みは見過ごせません。だからMyStoryでは、従業員サーベイや会員向け調査の集計納品時に、ストレートライニング由来のリスクを必ず明示します。「この数値はこういう傾向の回答を除外した上で算出しています」といった形で、意思決定に耐えるかたちに整えます。

ストレートライニングは“誰のせい”なのか?

ここもよく誤解されます。「やる気のない回答者が悪い」として片付けたくなるのですが、実際にはそう単純ではありません。研究知見を見ると、ストレートライニングの発生にはいくつかの要因が絡みます。

つまり、これは“怠慢”だけの問題ではなく、調査設計や提示方法の問題でもあるんです。MyStoryでは、調査票レビューやサーベイ設計の段階から

など実装レベルの提案も行います。これは従業員サーベイでも会員向けアンケートでも同じです。

MyStoryはストレートライニングをどう扱うのか(実務フロー)

MyStoryの『リサーチアドバイザー』サービスでは、ストレートライニングを「検出→判定→活用制御」という3ステップで扱います。実際の流れを簡単に紹介します。

1. 検出する

2. 判定する

これは、「人事が意思決定に使う数値」「現場向けのフィードバックに使う数値」「役員向けの経営指標として使う数値」は同じでなくていい、という考え方です。分析目的ごとに扱いを最適化します。

3. 活用を制御する

ストレートライニング対策は“現場の働きやすさ”にも効く

最後に、これを「ただの品質管理」とだけ捉えてしまうのはもったいない、という話をさせてください。従業員サーベイの世界では、調査結果が昇進・評価・組織再編に影響することもあります。だからこそ、社員側には「正直に書いてもどうせ聞いてもらえない」「とりあえず真ん中で流しておこう」という諦めが生まれやすい。ストレートライニングは、その諦めのシグナルでもあります。

MyStoryは、単に“不良回答を弾く”だけではなく、

まで含めて、人事・組織開発のパートナーとして伴走します。ストレートライニングは「面倒くさいチェック項目」ではありません。
それは、サーベイが“本音をすくえているか”“データが意思決定に耐えうるか”を測る心電図のようなものです。

もし今、あなたの会社の従業員サーベイが「スコアは出しているけど、結局アクションにつながらない」「部署間比較が信用できない」という状態なら、その一因はストレートライニングを含む“回答の質”を見ていないことかもしれません。MyStoryの『リサーチアドバイザー』サービスでは、単に集計を代行するのではなく、こうした回答品質の診断から、設問設計・調査運用・結果の経営活用まで一体で支援します。調査は「聞いておしまい」ではなく、「変えるための道具」になるべきだからです。

【参考】MyStoryの『リサーチアドバイザー』サービス紹介ページ
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